認定こども園捜真幼稚園11月園だより
「成長させてくださる神さま」
昔話の研究者である小澤俊夫先生からこんなお話を伺ったことがあります。「僕が仕事をするとき、目の前が窓で、庭がよく見えるのです。そこに、もみの木を植えて、成長を楽しく見守っていました。どんどん大きくなってくると、根をしっかりとはやすために、枝を剪定することになり、美しいもみの木の形だったのに、バッサリと切られてしまった。残念な気持ちで見ていたら、日々枝がのびて、不思議にあの美しいフォルムになったのです。僕はそれを見て、木は、自分の美しい形を知っているから外からどんなに剪定されても、自分の美しい形にもどろうとするのだと感動したのです。子どもたちも自分の真の姿を知っていて、その姿になろうとしている、そんな姿を昔話は語っているのです。」そのお話を聞いて、私はコリントⅠ3:6-7の御言葉を思い出しました。「わたしは植え、アポロは水を注いだ。しかし、成長させてくださったのは神です。ですから、大切なのは、植える者でも水を注ぐ者でもなく、成長させてくださる神です。」
私たち大人は子どものためを思って、水を注いだり、栄養を与えたり、道を整えたりします。それは必要なことですが、子どもたちの中にはすでに自分の美しい姿に成長していくための力が神さまによって備えられていて、神さまが見守っていてくださっていることを忘れてはいけないのだと思います。ですからこの神さまに祈りつつ、子どもたち一人ひとりに備わっている力が発揮できるように必要な環境を整え、子どもたちの成長を毎日楽しみに待ち続ける者になりたいと思うのです。
今、私たち人間は自分の都合ばかりを考え、環境を壊し、争いごとは絶えず、子どもたちに良い環境を備えることができなくなっています。人間の考えることには限りがあり、自分よがりなことばかりです。しかし神さまはそんな人間の罪を赦し、私たちに道を備えてくださっています。子どもたちの傍にいる者として、今自分にできることを考え、神さまの御心にかなう行動をしていきたいと願います。
園長 寺田千栄