園からのお知らせ

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認定こども園捜真幼稚園2017年11月園だより

「遠くを見る目」

運転の下手な人は、近くしか見ていないために、非常に狭い状況の中で起こっていることに対処しようとします。その結果、細かくハンドルを切ったり、小刻みにアクセルやブレーキを踏んだりするので、同乗者は体を前後左右に振られ、落ち着きません。運転の上手な人は、遠くの状況を視野に入れながら、つまり「遠くを見る目」を持ちながら、「今のこと」に対処します。したがっておだやかな運転になります。
このことは子育てにも当てはまります。今、我が子に起こっていることに過剰に反応して、焦って「修正しなければ」と必死になると、子どもを、「ちまちま」管理するようになります。しかし、子どもは親の所有物ではありません。「我が子」ではあるけれども、神様がお創りになった独自の人格を持つ尊い存在でありますから、親の思い通りにしようとしないことが大切です。
わたしも二人の娘を育てましたが、同じ親から生まれながら、どうしてこんなにも違うのだろうと思わされました。長女は、どちらかというと優等生タイプで、万能型の人間です。それに比べると次女は、しばしば「想定外」のことをする子で、親をひやひやはらはらさせました。一般的な評価をすれば、長女は「良い子」で、次女は「???」です。
次女が小さい頃は、姉と同じことができるだろうと思って、いろいろなことを試みましたが、同じようには行きません。当たり前のことです。同じ親から生まれたといっても、性格も才能も違うのです。もし、わたしたち夫婦が親の思い通りに成長してほしいと期待をおしつけたら、それに応えてくれないと、親もいらいらしますし、次女も追い込まれて苦しくなったことでしょう。しかし、わたしたちは、「この子にはこの子なりの育つ力を神様が与えてくださっている」と信じて、見守ることにしました。そのように腹を決めたら、「どんなふうに成長していくのだろう」と楽しみになりました。
それでも、長女も次女も、「このままいったら、どうなってしまうのだろう」と心配になったこともあったことは否めません。しかし、一つ感謝だったことは、わたしたちは祈ることを知っていたことです。祈る中で、神様がきっと守ってくださるという「遠くを見る目」を与えられました。親として、どのようにするのが良いかわからなくなることもありました。しかし、その時は、「神様あなたがこの子を導いてくださるようお願いします」と祈りました。これは、親の責任をいいかげんにするということではありません。親であっても限界があることを認めることです。限界があるにもかかわらず、自分で何とかしようとするから、さらに問題を困難にするのです。
一人ひとりにふさわしい成長のペースがあります。大切なことは、親の願望を押し付けて、また、ほかのお子さんと比べて、一喜一憂するのではなく、その子がその子のペースで成長するのを見守り、必要な助けをすることです。遠くを見ながら育てましょう。                   

理事長 小野 慈美
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