園からのお知らせ

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認定こども園捜真幼稚園2018年6月園だより

自分を低くして、子どもから学ぶ

今年の春に出かけた、バージニア・リー・バートン「ちいさいおうち」の絵本作家の展覧会の入り口に、あいさつ文のボードが掲げてありました。そこにはバージニア・リー・バートンが「ちいさいおうち」で、1943年アメリカ合衆国で最も権威ある児童書の賞、コルデコット賞を受賞した際、スピーチで「見たものが、美の基準となる」と言っています。子どもたちに何を見せるか、それは大人の選択にかかっています。力強い美しさを持ったバートンの絵本が「まごのまごのまごの」の未来永劫まで日本の書店に並んでいますようにという願いを込めて、この展覧会を開催します。と書かれていました。
私の心に「見たものが、美の基準となる」「子どもたちに何を見せるか、それは大人の選択にかかっています。」と書かれた言葉が突き刺さりました。それは私自身「ちいさいおうち」は父の膝に座り、何度も読み聞かせてもらった絵本であり、今でも大好きな絵本の一冊であること、また我が家では、誕生日プレゼントは父が選んだ本と決まっていたおかげで良い絵本に触れ、絵本を楽しみつつ良い絵本を見る目が育つのに役立っていたこと、また代々クリスチャンの家に生まれた母は、私を幼い時から教会へ連れて行き、そこで聖書を読み賛美歌を歌い、そして主イエスと出会った事が、やがて揺るがぬ礎となるクリスチャンへの道を選択する際に、大きく影響したこと、これらの実体験からも、バートンの言葉が確信をついていると実感できたからです。改めて美の基準となるものを与えてもらった環境に、感謝の思いが湧いてくると共に、目の前の子どもたちに何を見せ、何を選択するのかという大きな責任があることを痛感させられました。
バートンは、美術を専門的に学びやがてデザイナーとしの才能を発揮しつつ、我が子のために絵本制作を手がけていきます。その作品は絵本1ページ1ページを絵と字の配置やバランスまで考えて絵の中に配置し、背開きにまで妥協せず作られています。彼女は子どものためだからといって、程度を落として書く事は絶対に許されないこと、文章と絵は完全に関連していなければならないこと、子どもはどん欲な知識欲を持っていて、素材が楽しめる形で出てくれば学ぶことなど、鋭い批判家の我が子から多くの事を学んだのです。 その学びを、制作活動に生かしていたからこそ生まれた名作であった事を知り、感銘を受けました。
子どもの美の基準となるようにと、より優れたものを子どもに見せるために、子どもから学ぶバートンの姿勢、そして子どもから学び続けたからこそ生み出された優れた作品を思う時、大人は子どもから学びつつ、子どもに本物を見せるために真剣に選び与えなくてはいけないと、私自身心引き締められました。
聖書のマタイによる福音書18章4節にも『 自分を低くして、子供のようになる人が、天の国でいちばん偉いのだ』と書かれています。つまり優れた者とは、バートンのように大人だからと傲慢にならず自分を低くし、子どもから学ぶことなのです。子どもの前で傲慢にならず、自分を低くし子どもから学びつつ、子どもたちに美の基準となる本当に美しい物を、選択できる大人でありたいものです。私自身、未来を作る子どもから真剣に学び、子どもたちの美の基準となる選択ができる大人へとこれからも成長し続けながら、子どもと関わって行きたいと願っています。                           

副園長  岡野 きよみ
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