園からのお知らせ

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認定こども園捜真幼稚園2024年5月園だより

さあ、漕ぎ出そう

『沖に漕ぎ出して網をおろし、漁をしなさい。』 ルカによる福音書5章4節

花々の彩り、新緑の美しい季節になりました。園では、まだまだ子どもたちの泣き声が聞こえていますが、泣き顔が笑顔に変わる場面もたくさん見られ、季節の移り変わりと共に、子どもたちの変化を嬉しく見ています。大きな石やプランターの下にいるダンゴムシやミミズを発見して歓声をあげたり、砂場に流した水がぐんぐん吸い込まれていく様子に目を丸くしたり、様々なことに心動かされている様子は、今もこれからも一人ひとりの子どもたちの歩みの中に、楽しみや喜びがあふれていることを感じさせてくれます。
さて、上記の聖句は、イエス様が語られた言葉です。その言葉は、夜通し漁をしても全く成果が出なくて、絶望感と疲労感の中にあった漁師たちに語られた言葉でした。魚を捕まえるプロであった漁師、ペトロ、ヤコブ、ヨハネはどんな気持ちでその言葉を聞いたのでしょう。「夜通しやってみたけどだめだったんだ。今日はもうだめにきまっているさ。もう一度、沖に出て網をおろせだって?一体あなたに何がわかるんだ!」そんなふうに答えることも想像できます。けれどもペトロたちは、何かを感じとっ
たのか、不思議な力に導かれたのか、「お言葉ですからやってみましょう。」と言って、もう一度、沖
に漕ぎ出したのです。するとどうでしょう。次の場面では、“網にはおびただしい数の魚がかかり、網が破けそうになった”とあります。ペトロ、ヤコブ、ヨハネはこの出来事の後イエスの弟子となります。
私には、この聖書のお話が、初めて保護者の方から離れて幼稚園に通い始めた子どもたち、ひとつ学年があがってドキドキ、ワクワクしている子どもたちの姿と重なって見えます。「ママがいいー」「パパとずっと一緒にいたいー」と涙を流す子どもたちが、何かを感じ、不思議な力に導かれて、想像もつかない次の場面に導かれているのです。
年少組の帰りの時間に、保育者が「みんな、こんな讃美歌聴いたことあるかな?」と言って、“大波のように” という讃美歌を歌ってくださいました。
『大波のように 神の愛が 私の胸に寄せてくるよ 漕ぎ出せ 漕ぎ出せ 世の海原(うなばら)に
先だつ 主イエスに 身をゆだねて』 (讃美歌二編171番より)
私はその歌声の心地よさに、膝に座っていた子どもと一緒に体を揺らしながら聴いていました。しだいに泣き声もしなくなり、保育室は不思議な温かい空気に包まれました。
捜真幼稚園は神様が共にいてくださる幼稚園です。イエス様が一人ひとりに必要な言葉を語りかけてくださる幼稚園です。その言葉を聞いて、共にいてくださるイエス様に身を委ねて、それぞれの沖へ漕ぎ出していきましょう。想像もつかない素晴らしいこと、その子らしさが輝くことを楽しみにしながら。

主幹保育教諭  黒坂 綾子

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