「神は、お造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった。」

旧約聖書 創世記1章31節

私は、いつも申し上げています。「捜真幼稚園には『悪い子』『ダメな子』はいません」と。
こどもが、大人にとって都合の「悪い」ことをするときに、「悪い子」という評価をされます。たとえば、大人の集まりに、親が小さいお子さんを連れて参加することがあります。集まりの間、その子が静かにしていると、他の参加者がよく口にすることは、「良い子だったわね」とか「おりこうさんでしたね」という言葉です。その場合、大人の集まりを邪魔しないでいるから、「良い子」と評価されます。
しかし、その同じ子が、次の同じような機会に、むずかったり、騒いだりしたりすると、「悪い子だったわね」とは言いませんが、決して「良い子だったわね」とは言いません。つまり、その日は、その子は、「良い子」ではないことになります。しかし、たまたま、大人にとって都合が悪いことをしたに過ぎません。その子の存在そのものが「悪い」のではありません。
また、大人の一方的な期待に応えられなかったり、大人のものさしで他の子と比較して劣っていると判断されると、「ダメな子」と呼ばれるのです。その子の存在自体が「ダメな」わけではないのです。
神様が天地万物を造り、最後に人間を造られました。そして、造ったすべてのものをご覧になり、「極めて良い」と宣言されました。ですから、ひとりひとりは、まず存在そのものが「良い」ものとして神様から愛されているのです。人はそれぞれ神様がお創りになった唯一の固有の存在であり、その尊厳は比べることはできません。
お子さんたちがこれから生きていくとき、いろいろな物差しで測られて、優劣が付けられます。そこから逃れることはできません。でも、どんな時でも、ご家族は、お子さんの応援団、味方でいてください。この世界からは絶えず評価されますが、その評価に一喜一憂するのではなく、そのような評価に関係なく、「この子は大事だ。なぜなら、神様が大事だと言っていてくださるからだ」という、神様の思いを共有すること。お父さん、お母さんの一番の役割はそこにあると思っています。育児や保育(教育)で大切なことは、他の子との比較ではなく、その子がその子として最もふさわしい仕方で成長していくことを支援することです。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

理事長　小野慈美